愛知県の入国後講習施設で6年働いたやまさんが赤裸々に書いてくよ~
私は大学院を修了してから、つい最近まで約6年間、専任講師として入国後講習施設で働いていました。
一生懸命働いていましたが、最終的には会社の経営不振で解雇されてしまいました(涙)。
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技能実習生って何?
技能実習生は日本の技能・技術を習得するために来日する外国人のことです。
最短1年、最長5年の滞在が認められています。(在留資格「技能実習1号・2号・3号)
制度上は『国際貢献』。でも実際は…
技能実習制度が1993年に施行されて以来、表向きは日本の技能や技術を学び、母国でその学んだ技能・技術を生かすことによって、発展途上国を手助けするという名目の元で利用されてきました。
しかし、実際は主に中小企業の労働力不足を補うために技能実習生を受け入れるというパターンが多くみられています。
↓技能実習生の制度、現状をもっと詳しく知りたい方はこちらの本をおすすめします↓
『技能実習生』は今後いなくなっていく
技能実習制度は、これまでの様々な問題を受けて改正をしてきましたが、いよいよ限界が来てしまったようで、「育成就労制度」と名を変え、改善することになりました。
育成就労制度は2027年から始まり、技能実習制度は3年間の移行期間を経て、廃止される見通しです。
そのような理由で、今後は「技能実習生」という名で滞在する外国人はだんだんいなくなっていきます。
その代わりに、育成就労ビザで滞在する外国人就労者が増えていきます。
技能実習制度は、外国諸国からは奴隷制度と呼ばれ、かなり批判されていました。
技能実習生の入国後講習って?
実習生は入国後すぐ働けない
技能実習生は、入国後すぐ就労することはできません。
技能実習法により、入国後から160時間は、座学による入国後講習というものを受講しなければなりません。
この160時間という時間は、各受け入れ企業ごとに異なり、実習生の1年の就労予定時間から計算されます。
私の元職場では、ほとんどの実習生が176時間でした
この期間に行う入国後講習での日本語科目を日本語教師が担います。
どんな人が入国後講習で教えられる?
日本語学校と同様の資格が必要
入国後講習施設で教える場合も、以下のような日本語教師の資格が必要となります。
↑P,8に入国後講習における日本語教師の必要条件が明記されています。
簡単に書き換えると、以下のとおりになります。
- 大学・大学院等で日本語教育を主専攻として卒業・修了していること
- 日本語教育能力検定試験に合格していること
- 大学を卒業していて、養成機関などで420時間以上の日本語教育課程を修了していること
- 告示校の日本語学校で教えた経験が1年以上あり、現在も日本語教師を続けていること
のうちのどれかを満たしていれば、入国後講習で日本語教師をすることができます。
私の元職場で話されていたこと(教務室の会話)
給料が安い
異論ありません。給料は安いです。
非常勤講師であれば特に安い傾向があります。これはもう学校によるとしかいいようがありませんが…。
よりよいコマ給を提示している入国後講習施設を探すようにしましょう。
日本語教師全体的にそうですが、仕事量に対するお給料が安すぎます…(涙)。
技能実習制度自体に賛同していない人が多い
このような先生を多くみました
技能実習制度って社会的にも、日本語教育的にも賛同していない人が多かったです。
入国後講習施設で教えるということが、制度に賛同しているということになる、という思いから敬遠されがちなのかもしれません。
ただ、私も含めそこで働く先生たちは、「どれだけ日本社会が受け入れなくても、何も知らない実習生たちはどんどん入国する。せめて、私たちが入国後講習で生活に必要な日本語を教えて、彼らの未来に貢献したい」という思いを持って働いていました。
なので、賛同しない!加担したくない!と強く感じた先生方は次々と辞めていき、そうじゃない先生(技能実習制度はともかく、技能実習生の力になりたいと考えている先生)が残る、という感じでした。
有資格者がわざわざ入国後講習で働くメリットがない
「入国後講習で」働くメリットが現時点でないです(笑)。
入国後講習の施設は基本的に学校として登録できないので、そもそも告示校ではありません。
日本語学校が一部技能実習生の入国後講習を委託されている場合は別ですが、単体の入国後講習施設は告示校になることができないんです(基準が満たせないので)。
となると、どれだけそこで働いても日本語教師としてのキャリアは積めないということなります。
告示校の日本語学校の求人には、専任の応募条件に「告示校で1年以上教えた経験がある」みたいに、「告示校で」というのを重要視しているよ。
なので、同じ1年を教えるなら、告示校で教えた方が、転職する場合にステップアップすることができるんです。
入国後講習施設で働くことは、あまりおすすめしない
6年専任で働いてみて、入国後講習施設で働くことはおすすめしません~!
以下に理由を詳しく書いていきます。
①経営者が日本語教育について全く知らないことが多い
日本語学校が委託を受けて技能実習生の入国後講習を行っている場合はまだましですが、日本語教育未経験で入国後講習施設を作ったというパターンが多々あります。
面接時にそんな話を聞いたら絶対に辞退した方がいいです。後で揉めます。
いわゆる、組合がいくつか集まって出資して学校を作ったというパターンも同じです。
どちらにせよ、日本語教育についての理解がないので、日本語教師は働きにくいです。
実際に私が社長から言われたので印象的だったのは、「授業してない時間は遊んでるんだから給料払いたくない」でしたね(笑)。
どういうこと!?授業準備の時間はないってこと?
そういうこと。だから毎日8時間授業して当たり前。授業準備は残業しろ。残業代は月に16時間までしか払わない!とか言われました(笑)。
なつかしいなあ(笑)
嘘のような本当の話ですが、日本語教師をしたことが無い人がトップに立つので無理難題を言ってきます。
それでいて知識はないので、教科書選定やカリキュラム作成、実習生の管理、評価などは日本語教師たちに丸投げです。
②日本語教師の資格自体をばかにしてくる人が一定数いる
技能実習生関係の仕事している方で、日本語教育に関わったことがある人は少ないです。
ごくまれにいらっしゃいますが、その人たちは日本語教師の大変さを知っており、変なことは言ってこないのですが…。
前の会社でやばい人がいました。
私は日本語教育能力検定試験を合格しているんだけど、そのやばい人が「自分なら3か月ばーって勉強したら独学で合格できる。日本人なんだからできる」って6年間言い続けてた(笑)。
なんのマウントか知らないけど、日本語教育能力検定試験を受けたことも、ましてや真剣に勉強したこともない人にこんなこと言われたくないですよね(笑)。
でもこのマインドの人が上層部には結構いて、日本語教師=簡単になれる=軽く扱ってもいい、みたいな図式が出来上がってました。
これも無知からくる発言なんだとは思いますが、こういう人を相手にしながら仕事するの、結構辛いです。
③低賃金重労働
①②で書いたように、日本語教師の重要さが分かっていない人が多いので基本的に低賃金重労働です。
入社当時は「残業代?そんなの請求してくるなんてがめついな」とか言われたりしました(その後改善されました)。
残業代は支払われるようになったものの、資格手当がマジで謎なことになっていて…。
私が持っている日本語教育能力検定試験の額と、2日間くらい講習受けたら必ず合格する消防者講習?みたいなものの額が同額だったんです(笑)。
資格の価値が全然わかってなくて笑っちゃいました(笑)。
うちの学校は、寮もかねていたので土日祝日、盆正月も関係なく出勤して当たり前。でも手当はない。
みたいな状態が6年間続きました。今から労働基準局行こうかな(笑)。
④監理団体/受け入れ企業の要求が…
入国後講習で日本語などを勉強する時間は、企業での就業時間に基づいて決められていて、最低160時間は必ず座学で勉強しないといけないことになっています。
それを何度説明しても、頭の悪い監理団体の職員が、配属日(修了日)を早めてもらえないか?と毎回要求してきます。
何度説明しても交渉したらなんとかなると思っている人が一定数いるんですよね…
法律で決められているんですよ~ほら、ここに書いてあります。って何回説明したことか…。
あとは、この言葉を覚えさせてほしい!と資料を持ってくるんですが(それ自体はありがたかったです)…
内容がくっそ専門的で、通訳の子も翻訳できないんですよね。
正直言って、そこの会社の求めているレベルは技能実習生ではなく、高度人材のような気がしました。
でも、その企業は日本人と同等の給料は払いたくないから技能実習生でってことだったらしいです。
まあ、そういう理由なら最初から外国人を雇用しようと思わないことだよね~
結局、技能実習生を受け入れている企業って、もう求人を出しても日本人が来てくれない職種だったりするんですよね。
でも、日本人と同じくらいの給料は払いたくない、でも仕事は専門家として最初からやってよね!っていう要求をしてくるんです。
技能実習制度を歪んで理解しちゃった結果がこれ。こんな企業がたくさんあります。
⑤同僚の離職率が高い
結局そんな職場なので、とにかく同僚の離職率が高かったです。
正直、有資格者であれば他にもっといい職場が見つかるので、みなさんどんどん退職します。
結局私も条件の良い仕事が見つかったので、退職届を出しました(その前に解雇されましたが笑)。
結局、入国後講習施設での日本語教師って、日本語教育以外の仕事が本当に多い気がします。
寮が併設されていて、かつ寮監がいないと全部日本語教師だけで回すことになります。
- 土日の実習生管理
- 土日の実習生の昼食・夕食手配
- 朝食準備
- 実習生の生活で必要になる備品の買い出し
- 実習生が体調不良になった場合の通院
- 実習生が荷物を送るときの対応
- 実習生が寮にいる間に起きたトラブルの対応
この辺りを日本語教師がやるような入国後講習施設は、転職を考えた方がいいかもしれません。
こんなことやってたら私たちの本来の業務である「日本語教育」が全くできない、または適当になってしまいます。
日本語教師として入社したのに、ふたを開けてみたら別に日本語教師じゃなくてもできるような雑用を延々とやらされた…だから辞めますって言う人を何人も見てきました。
まさにその通りだと思います。この仕事は、寮監や事務員さんがやることだと思いました。
⑥日本語教育の環境が劣悪なことが多い
ここまで読んでくれた方はもう想像できていると思いますが、日本語教育の環境も悪いです。
日本語学校と違って1クラスの人数や、担任の設置義務などが一切ないので、すごい数の人数が一つのクラスにいたりします。
一番多いときで40人くらいいました。一応授業はしたものの、意味がある授業ができたのかは謎です。
かと思えば、入国人数が少ないときなどは、1~5人程度で一ヶ月授業をすることもありました(笑)。
⑦シフトが不安定
私は専任だったので人数が増減しても毎日出勤していましたが、非常勤の先生は人数が減るとシフトも減っていたので大変そうでした。
日本語学校であれば、2年間くらいは同じ学生が在籍し続けるのでシフトが固定できますが、入国後講習は一ヶ月で出て行くし、入国人数も明確ではないので、はっきりとしたシフトが結構ギリギリまで出せないんですよね…。
常に多くの実習生が入校するような施設であれば大丈夫ですが、波のあるような施設は要注意です。
なので、収入が別にあって、入国後施設でのお給料はそもそも期待してないよ~みたいな余裕がある人には向いていると思います。
「入国後講習施設での日本語教育について」まとめ
おすすめしない!の一言につきます(笑)
- 給料が低い
- 会社の上層部が日本語教育経験者ではないので、無理難題を言ってくる
- 告示校ではないので、キャリアが積めない
- 同僚がどんどん退職していく
- 非常勤の場合、一か月先のシフトが不透明
よりよい環境で働くためには資格が必須!
2024年度から国家資格「日本語教員」が新設されました。
告示校で現在1年以上働いている方は移行措置がありますが、これから日本語教師を目指す!という方はぜひしっかりとした養成講座に通って420時間みっちり勉強することをおすすめします。
日本語教育界隈では、420時間の養成講座も、「〇〇出身なら安心」という基準があります。
やりがい搾取されないためにも、自分の価値をしっかりあげていきましょう~!
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日本語教師養成講座も山ほどありますが、私的おすすめはヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座です。
理由は一つ。先生に「尾崎明人先生」がいるからです。
私は名古屋外国語大学の日本語学科、そして大学院の日本語コミュニケーションコースで尾崎先生に教えてもらいました。
本来であれば、大学院で初めてお会いすることができるくらいの、日本語教育に精通している先生です。
本なども多く出していますので、ぜひ読んでみてください。
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